【リラックス】よく眠れる匂いとは?

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僕が大学生の頃に書いた卒論『匂いが人に与える影響』より、興味深いなと思ったハーブの効用について紹介します!

 

ハーブの効用 

 

 香草と訳されるハーブは西欧ではもともと薬になる植物をさしていた。実際に自分では使ったことはなくても、RPGゲームなどをプレイする人は薬草が薬になることや、回復手段として利用されるものという認識を持っているだろう。アニメやドラマ、映画でも怪我の治療に使っていることは知っているだろう。ハーブは薬草として古代ギリシャやローマ時代に研究されるようになった。「医学の父」として知られているヒポクラテスは四百種に及ぶ植物の薬効についてまとめている。その中にレモンバーム、バジル、フェンネル、タイムなど現代でも良く使われるハーブが見られる。タイムに含まれるティモールという精油には、喉、呼吸器、消化器も障害に効果があると言われ、さらに殺菌力も優れており古くからうがい薬に用いられている。ディルの種には眠りを誘う作用があり、昔から赤ん坊にディルの種を煎じたものを飲ませて寝付かせていたそうだ。マージョラムにも、眠りを誘う効果がある。枕に詰めるハーブピロウの材料に使われているそうで、「自然の睡眠薬」として知られている。

 

 最近の入浴剤にはハーブが入っているものがある。アロマテラピーでは精油を入浴に用いることは重要な治療法の一つになっている。お風呂でリラックスをしながらも入浴剤の色や香りから来る視覚効果、嗅覚効果がプラスすることができる。五感を満たされる時、初めて心のリラックスが可能になるのだ。日本では、端午の節句にはお風呂に菖蒲を入れていた。菖蒲の香りの元になっているメチルオイゲノールという精油は皮膚を刺激して血行を良くすると言われている。

 

 アロマテラピーとは、アロマ「香」テラピー「治療」という意味で、日本では芳香療法と呼ばれている。花や草木から香りのエッセンス(精油)を取り出し、それを皮膚に塗ったり、お風呂に入れたりして病気を治すというものだ。

脳波を使った実験では、興奮作用があるのはジャスミン、バジル、ペパーミント、ローズ、などで、鎮静効果があるのはラベンダー、カモミール、レモン、サンダルウッドなどだった。

 

 調香師の話によると

興奮性のある香りに共通なのは動物性の香りで、鎮静効果がある香りに共通なのは森林の香りだと言う。人間は原始時代から様々な香りの中で暮らしてきたわけで、餌となる動物を求めて興奮し、追いかけた。外敵から身を守るために森に潜んで暮らしていたのだろう。そこはよる眠るところでもあった。だから動物の匂いは攻撃、興奮を意味し、森林の匂いは安らぎを意味したわけで、森の匂いに鎮静効果があるのは、太鼓の森の香りに抱かれひっそりと暮らしていた人間の古い脳の記憶がいまだにしっかりわたしたち現代人にも刻み込まれているのかもしれない。

 好きな匂いと嫌いな匂いを用いて脳波を測る実験では、好きな匂いを嗅いだ時に、気分が楽になった、ホッとする、注意が集中できる、などと言い、逆に嫌いな匂いを嗅いだ時には、イライラする、気持ちが悪くなる、逃げ出したいなどという。脳のα波は脳細胞が休んでいる時に出るので、α波の多い方の脳の活動が低い(逆にα波が少ない方の脳の活動が高い)というように解釈する。好きな香りを嗅いだ時と嫌いな匂いを嗅いだ時では逆の変化が見られ、脳波トポグラフィーと、本人の気持ちは裏付けられた結果となった。科学的に匂いが人の感情を表すことができた実験であった。つまり好きな匂いを嗅いだ時に気分のコントロールも可能になると言える。

それ以上に興味深いのは、

大事な仕事や行事のために落ち着いて注意を集中しなければならない時などに、あらかじめ自分の好きな匂いを見つけておけば、それを使って気分をコントロールできそうだ。緊張している時やイライラしているとき、その香りを嗅いで気分を鎮めることだ。実際に昔の日本の武将は出陣にあたって、兜に香を焚いて気分を鎮めていたと言われている。現代でも時間に追われる仕事をしている人などには大変魅力的な香りの使い方であろう。